2009年2月13日金曜日

中国: 桂林 2日目&所感

二日目 川下り
うかつにも、二日目のツアーの段取りは何も聞いていなかった。
もしかしてだまされた?などと心配になるが、宿の人を通して、契約した人と連絡することができた。「10時にロビーで待ち合わせ」となった。しばらく街を散歩して10時に戻るが、彼は「ごめん、10時は一杯。14時にして」と困ったことを言う。私は帰りのバスが20時発であることを伝えていたので、彼が昨日言っていた「4時間半の川下り」をしたら間に合わない。それを言うと「いや、川下りは2時間。出発地点の興坪まではバスで 30分だから4時間で戻ってこれるよ」ということであった。

話が随分と変わってしまったが、事実はまた違って、川下りは1時間。出発地点までのバス移動が1時間以上、だった。
(結果的に言えば、川から見える景色はそんなに変わらないので、寒い冬には1時間程度が妥当かもしれなかった)

さて、私のツアーは、かなり簡素化されたツアーで、バス停まで連れて行ってもらい、ローカルバスに一人で乗っていく、というものであった。こんなのなら自分でやったのになあ・・・。舟もたくさんあって、予約してなくてもて同席を嫌がらない人のところにすべりこませてもらえそうだった。

着いた興坪の街のバスターミナルのすぐ横に、古い街並みを保存している箇所があって、なかなか味があった(ツーリストもたくさん)。そこを通り抜けて川の方に向うことができる。そこから先、船着場までは川沿いの細い道に車が殺到しているため、ひどい渋滞になっていた。歩いたほうが早かった(徒歩で20分弱)。

舟は4~6人乗りのモーター付きの筏。自分は遠慮して一番後ろに座ったが、屋根が前方視界の邪魔なので、前のほうに座るべきだった。あと、舟からくる波で水がはねて下半身はずぶぬれになる覚悟が必要。

川の中や周りには水牛やアヒルがいたりした。例の山々に囲まれた景色はさすがになかなかであった。夕方近くなっていたので、山々の間から差し込む光が斜めに切れ込んでおり、美しい光と影のコントラストを見せていた。

さて、ツアーが終わったのでまたローカルバスで陽朔まで戻る(5.5元)。朝に登った公園にある丘にもう一度登り、暗くなり行く街を眺め、別れを告げる。ご飯はここの名物のビアフィッシュを食べた。これは、漓江川に特有の魚の種類だと思ってたが、どうも調理方法らしかった。そのまんま、味付けにビールを使うのがポイントらしい。それほどビールを感じさせる味ではなかったが、川魚の生臭さがうまく消されていてとてもおいしかった。旧正月なのでと餃子も食べて、おなか一杯になって帰路。
長かった帰路
バスは2時間近く待たされたあげく(待つのはインドで慣れた)、「満員だから乗り継ぎで違うバスに乗れ」と言われ、違う街に一度バスで移動してから寝台バスに乗り換えた。待っていた寝台バスがアイドリングをしなかったのはよかったが、バッテリーがあがっていてしばらく出発せず。結果、行きより 1.5倍近く時間がかかり、深圳に着いたのは朝の10時過ぎになってしまった。バスは行きよりベッドが長く、ぎりぎり足を伸ばすことができ、往路よりよく眠ることができた。これなら100元の差額も納得できる。
深圳に入ると全員が降ろされた。なんだかターミナルっぽくないのにおかしいなあと、英語の分からない頑張ってドライバーとコミュニケーションして分かった。中国人は入京審査をここで受けないといけないのだ。外国人の私は免除なので、パス。竹子林 という地下鉄駅の上が終着点だったので、地下鉄で香港との国境へ。地下鉄はほとんど香港と同じスタイルで、新しいのでやたら綺麗であった。なんだか無機質な印象。
以上、桂林紀行は終了。
桂林の感想と自分の旅への態度
中国を代表する景勝地。なかなかの景色であるが、テレビで、写真で、(20元札で?)見慣れすぎていたためか、感動は薄かった。香港や広州から週末で行くことができるので、何かのついでに行くのはよいが、わざわざ日本からここを目指すだけのものはないと感じた。
陽朔の街は、英語通用度が高いし、物価もそこそこ安いし大気汚染もあまりない。バックパッカーの憩いの場となるのは納得(ハッパは公に流通していなさそうだったけれど)。

さて、最近の私の旅の傾向であるが、うまく旅をすることばかりに気が行き過ぎて、あまり楽しめていない気がした。
"短い時間で","安く","快適に","ここでしかできないことを","できるだけたくさん" といった条件を満たすことにちょっと気がとられすぎていて、肝心の旅を味わいきれていない。
ヘタに旅慣れてきたため、はじめて見るものへの感動が薄くなってきているのと、うまく旅ができた時の記憶が頭にこびりついているからだと思われる。
この傾向は旅行記の文章にも十分に現れているだろう。
この一年は旅行ばかりしていたし、海外に生活していること自体が旅みたいなものであった。しばらくは日常を固めろといういうお告げだと理解することにした。

データ: 香港から深圳
・ 深圳から飛行機で片道 660元ほど(安い時期には深圳の国境出口にある旅行代理店で800元程度で往復券が売られていた)
・ 香港から飛行機で往復 2000HKDほど
・ 深圳駅より220-250元ほど。バス発着所は羅湖の国境から線路を挟んだ反対側。国境を出て左に進むと歩道橋へ続くエスカレーターがある。徒歩2分。一日19:30と20:30の2便。9~11時間・ 深圳福田バスターミナル等からもバスあり
・ 深圳駅から電車もありバスのメリットは、空港や桂林の街を飛ばして 羅湖←→陽朔まで直行でいけること。

2009年2月12日木曜日

中国: 桂林 1日目

桂林に行くのか?

香港での一年間の生活も終わり、日本に帰国。最後に、香港から行きやすい景勝地である桂林への旅行を検討してみた。

桂林は、大学時代、夏休みの終わりに友人が、あの瓢箪のような山々をバックに自転車でサイクリングする写真を見せてくれたことで知った。それまで身近に中国との接点がなかった私にとって、その図が中国のイメージの元型になっていた。。桂林という場所を私は、独りで喜んで行くほど魅力のある場所だと感じていたわけではなかった。しかし、その元型のイメージを体験しておきたいという想いがひそかにくすぶっていた。そして、香港にいる今を逃すと永遠に行かない気がしたので、検討開始。

しかし、調べてみると旧正月休みのこの時期は・・・


・ 寒い
・ 乾期の渇水のため川下りできる範囲が狭まる&霧や雲が出にくいため水墨画的景色は見にくい
・ 特別料金体制だし内地からの観光客が多い

と、タイミングとしては最悪だった。

行こうかどうか悩んだが、"飛び込みで夜行のバスチケットが取れたら行ってみる"というサイを投げることで決めることにし、とりあえず簡単な準備をして国境を越えた。


深圳から桂林
ネットで調べたところでは、国境の深圳駅付近のバス停の一つから250元くらいで夜行バスがあるという。場所がいまいち分からなかったのもあり、国境付近の旅行会社にまず行ってみると、350元とふっかけてくる。「春節だから」というが、信じられないので横着せずにバス発着所を探していく。バスのチケット売り場の手前に客引きがいて、700元とひどくふっかけてくる。飛行機で660元なのにばかなである。中国には法外にふっかける人は少ないという印象があったが、やはり流れ者の多い深圳は違う。

バスターミナルでは季節変動価格で260元なり。どのくらい滞在したいか分からなかったので、帰りのチケットは買わないでおいた。深圳駅周辺は特に旅客が多そうでも無かったので、旧正月期間でもなんとかなるだろう(結果的にはこれは甘い読みだった)。

降りる先は桂林ではなく、その少し(バスで1.5時間ほど)南にある、桂林川下りの到着地点である陽朔。ここは中国のバックパッカーの聖地の一つで、雲南旅行中に出会った中国横断中の旅行者に薦められていた場所。桂林の街中とは違い、桂林的景色に囲まれた街。過去に西洋人が多く住んでいたらしい場所でもあり、中国では珍しく英語の通用度が高い。

英語といえば、深圳からのバスガイドさんも英語をしゃべってちょっとびっくりした。

バスは土足禁止。寝台は雲南で乗ったものより横幅は広いが、長さは 180cmの私には足りず、足を折る必要があって、ぐっすりとはいかない。シーツは綺麗だった。そして、禁煙だったのがとても嬉しい。途中、福田バスターミナルに寄って行く。バスは高速を快調に飛ばし(この辺はインドと違うところだ)。しかし、快調すぎて朝7時着と言われていたのに、四時半に到着してしまった。周囲は真っ暗である。困った。去年、大理で朝3時半に着いて惨めな想いをしたことを思いをした。

この時間に空いている宿はあまりないし、ガイドブックも持たずにきたのでどこが安宿街なのかも分からない。しかし、今回は幸運にも客引きが一人いたし、他に二人のバックパッカーがいた。寒い中さまようのも嫌だったので、前者について行くことにした。宿はテレビに洗面セットとシャワーつきで交渉後100元。盛んに二泊しろと行ってきたのは相場より高いからだろう(一度街に出られると相場がばれる)。もっと安い宿があることは知っていたが、夜中に待っていた労力に大いに助けられたし、この後宿を探しに外に行くのは嫌だったので、一泊だけ、ということで早々に決める。

ちょっと寝たら朝の街を散歩してみようと思うも、目覚まし動かず。昨日の客引きがローカルビールとローカル麺を持ってきてくれた。彼は「朝にビールを飲むのがこの土地の習慣だ」といって薦めてくる。ほんまかいな。とにかく私は朝から飲む気がしないので、「インドでビールに睡眠薬を入れられてから、人から飲み物はもらわないことにした」と伝える。「気になるなら新品を持ってくるよ」とそれでも勧めてくるが断る(まあ、薬を警戒するならもらったご飯を食べるなという話なのだが)。

この朝食サービスは、ここで恩を売ってツアーを契約するための投資のようだった。ツアーの相場がおぼろげにしか分からないし、比較したいので自分で探すと正直なところを伝える。しかし、「今は旧正月だから見つかりにくい」「熊本から来ている美人二人と一緒にまわれるよ」などととてもしつこく勧誘してくる(そういえばビール勧誘の時も、熊本ガールも今ビールを飲んでいるとか言っていた。結局その二人の姿を見掛けもしなかった。彼の日本人勧誘時の常套勧誘手段なのかもしれない。)。しかし、値段もまあそんなもんだろうというところ(英語ガイド&ランチ付き1日サイクリングツアー+川くだり1日で350元)に落ちてきたし、自分で探しに行って当日乗れるツアーが見つからないリスクを考慮してお願いした(旧正月パワーがどんなものか分からなかったので)。

朝、ガイドさんがくるまでの間、街を少し散歩した。宿を出ると、"あの"桂林的な山が街の中や周囲ににょきにょきと生えていて、最初に見た時にはやはり少し感激した。

1日目 サイクリング ~

1日目は、天気が非常によかったので、ハイライトの川くだりではなくサイクリングからスタート。さっそく来てくれた、英語がそれほどうまくなく言葉少ないガイドさんと田舎をまわる。ガイドはたいした説明はしてくれなかったが、地図も持っていない身としては、ガイドがいてよかったと思う。治安のいまいちな場所もあるらしいし、独りで迷っている旅人もいた。

田舎は、中国の普通の田舎の風景である。野生や家畜の鳥がそこらへんにいて、ちょっと鳥インフルエンザの心配もしつつであった(桂林周辺は人間への感染はないが、省としては死亡例がある)。おかしな形の山々と川とを見てまわる。このコースでは途中、筏で川下りをするのが定番らしい。これはびっくりの150元。特別な景色が見られるわけでもないので、やめて、サイクリングで自分のペースでまわる。でも、道中、川原にいた地元のお爺さんに筏を貸してもらってこいで遊んで、気分だけ味わった。

途中で「昼食は込みなの?」と聴かれたので「そうだよ」と答えたら、ローカルの中でも一番安いだろう場所に連れて行かれた。市場で野菜や肉に囲まれながら、おかず3品&ごはんを食べたのだった。大変露骨な経費節約であったが、おいしいのはおいしかった。

その後、ちょっとした山(月亮山)に登ったり、洞窟(ウォーターケーブ)に入ったり。ガイドさんは入り口で待っていた。この辺りは特にコースが決まっているわけではなく、何をしたいか聞かれながらやっていく感じ。洞窟の入場料は168元もする。去年、世界一長い地底川の洞窟に行ったし、雲南で有名な洞窟にも行ったので興味なかったが、ガイドの妹がチケット売り場で働いており、ローカルプライス(80元)でいいから・・・と言ってくるので、時間潰しに行ってみた。

実際、郊外巡りはいろいろ見所に入っていかないと、山を眺めるだけでは1日使いきるのは難しい。私は中国の寺などは相当に飽きていたし、中国で乗る気球は怖いし。洞窟でも・・・と消極的選択。

この洞窟へは、舟で入って中で歩く。定番の鍾乳洞たちを見る。まずまずといったところ。予想通り、驚く場面はなかった。思っていたよりは規模が大きかったが、雲南の九郷風景名勝区とは比べるまでもない。一人の若い中国人が、現地ガイドの言うことを気が向くと英語に翻訳してくれて助かった。

夕方にはサイクリングが終わり、街に帰って、中国では珍しいバックパッカーのたまり場的な場所に行ってみた。それは、予想よりも大きい規模だった。もっと旅人に有名なコルカタのサダルストリートなんかより大きくちょっとしたオドロキ。西洋のレストランがあり、バーがあり、英語のメニューや看板があり。ずらりと並ぶみやげ物(偽ブランドや おかしな T シャツやら)屋を冷やかすだけでも時間をかなり潰すことができる。

予定通り明日の夜行バスで帰ろうと、バス停に行くと「明日は満席」。さすが旧正月である。旅行代理店をいくつかまわり、ようやく明日の夜行バスを見つけることができた。価格は特別料金の350元。まあしょうがない。

スケールの大きな野外ショー
さて、この街で有名なショーがあって、夜にはそれを見に行こうとしていた。張芸謀(チャン・イーモウ)プロデュースの 印象劉三姐 というものだ。夜に、山々をバックに街の外れの川の上で繰り広げられるショーである。出演は総勢600人にも及ぶという、日本では見ることができないようなものである。


チケットは一番安いもので188元もするし、まあいつでもチケットは買える、と思っていたがそこは旧正月パワー。その日の第一公演は売り切れ。第二公演に滑り込む。ショーの開催地まではチケットを買った旅行代理店のバスで行く(ちなみに帰りは置いていかれた・・・)。

会場の規模がものすごい。人々が待つスペースがあり、そこに開演1時間近く前に集合。そこから席まで大移動(どちらも屋外)。開場から開演までが短すぎ、客が入場中に真っ暗になって大パニックになっていた。ステージの前には川。その奥に山々がライトアップされる。

このショーはよかった。北京オリンピックの開会式のプロデューサーが、その路線で自然
の背景を利用して、様々な工夫をこらしている。水牛や鵜なども登場して、統制の取れた演劇が行われる。その中国ならではと思わせる規模のショーは、今回の桂林旅行で一番感銘を受けた。

すっかり遅くなった夜ご飯はローカル食堂で鍋ご飯。たくさんの食材から4品選んでご飯と炊き込むものである。おいしかった。あと、たこ焼きがあったのでトライしてみたが、タコは入っていないのは当然として、練乳と甘い粉がまぶしてあって、ほとんどお菓子であった。たこ焼きと思わなければ、意外とまずくはなかった。